長安寺本堂

新型コロナウイルス流行について

TOPIC

 新型コロナウイルス感染症の流行は依然として収束の目途が立たず、WHO(世界保健機関)は「パンデミック」になったとの見解を表明し、世界各国の更なる対応を求めています。

国内外では、大規模なスポーツや文化イベントなどが中止になり、渡航禁止や制限する国も出てきました。収束の目途が立たない中、皆が頑張って手洗いうがい、マスクの着用、そして集会の自粛をして広がりを遅くする努力を日々しています。

 お釈迦さまは四苦の教えを説かれています。人生の苦しみを、大きく4つに分けたものを「四苦(しく)」といいます。
1.「生苦(しょうく)」
2.「老苦(ろうく)」
3.「病苦(びょうく)」
4.「死苦(しく)」の4つです。
お経には、『阿含経』に「生老病死は世の常法なり」とか、
『涅槃経』に「生老病死は常に来たりて衆生を切る」
などと説かれています。 

1.「生苦」とは、生きる苦しみです。

生まれる苦しみとわれる場合がありますが、
仏教で私たちが生を受けるのは、出産のときではなく、お母さんのお腹に宿るときですから、
「生まれたときの苦しみ」では、本人は自覚がありません。
四苦八苦を説かれたのは、苦しみを知らせるためですから、
この世に生を受けて、生きていくことが苦しみだ、ということです。

2.「老苦」とは老いの苦しみです。

年が行くほど、身体も弱り、趣味もできなくなり、
新しいことは覚えられなくなり、
楽しみが少なくなっていきます。

老いるというのは、苦しいことなのです。

3.「病苦」とは病の苦しみです。
若い頃も、色々な病気になりましたが、
年をとって、最終的には病気で死ぬ人が9割です。

ガンや治すことができない病気になると、
まっしぐらに死へ向かって進んで行くのです。

4.「死苦」とは死の苦しみです。

死を自覚すると、今まで必死でかき集めてきたお金も、
名誉も地位も何の支えにもなりません。
一切が光を失い、「自分の人生は何だったんだろう」という
生きる意味が分からない苦しみが起きてきます。
これを「スピリチュアル・ペイン」といわれます。
肉体の痛みは、薬である程度とれますが、
スピリチュアルペインは、医学ではなすすべがありません。

愛する家族とも永遠に別れ、自分がこの世に存在しなくなります。
死んだらどうなるかという途方もない恐怖が起きてきます。

遅かれ早かれ、死は誰にでも訪れますから、
死は100%確実な未来なのです。

 

現在、猛威を振るっているコロナウイルス。皆が恐れ、予防しようとしていますが、病はもとより人類とともにいたもの。

「四苦」を滅する方法が「四諦(したい)」、お釈さまが一貫して説かれた人生の真理。

  1. 苦諦(くたい)
    人間の歴史が始まって以来、暑さ寒さ・天災地変・飢饉・疫病・貧困・不仲・不安・老い・死等に対する苦しみがあり、人生は苦(しょう)愛別離苦(あいべつりく)怨憎会苦(おんぞうえく)求不得苦(ぐふとっく)五蘊盛苦(ごうんじょうく)」であることを諦(さと)る。
  2. 集諦(しったい)
    集というのは「集起(しゅうき)」の略で「原因」という意味です。人生にも必ず原因があり、その原因を探求し、反省しそれをはっきり諦(さと)ること。法華経・譬諭品第三に「諸苦(しょく)の所因(しょいん)は貪欲(とんよく)これ本なり」と説かれ、渇愛(かつあい)といって喉の渇いた者が激しく水を求めるように、凡夫が諸々の欲望の満足を求めてやまない心の状態、無制限にものごとを貪り求めること。本能そのものは善悪以前の自然のものであると釈尊は説かれているのですが、欲望を必要以上に増大させ、人の迷惑などおかまいなく貪りを増大させる思いや行為が、不幸を呼び起こすのだと教えられています。この原因を悟る方法として十二因縁の法門が説かれている。
  3. 滅諦(めったい)
    前記の集諦によって、苦の原因は人間の心の持ち方にあるのだということが解りました。この事から当然「心の持ち方を変えることによって、あらゆる苦悩は必ず消滅する。」ということになる教えです。渇愛を余すことなく捨て去り、解脱し執着を断ち切ることができるのか、ただ捨て去ろう、解脱しよう、執着を断ち切ろうとすると、かえってそのものへの心の引っ掛かりから苦しみを増大させてしまうことも充分ありうる事で、釈尊は次に述べる「道諦」の真理をお説きになりました。
  4. 道諦(どうたい)
    釈尊は苦を滅する道について、本当に苦を滅する道は苦から逃れようと努力することではなく、正しく物事を見る「正見(しょうけん)」・正しく考え「正思(しょうし)」・正しく語り「正語(しょうご)」・正しく行為し「正行(しょうぎょう)」・正しく生活し「正命(しょうみょう)」・正しく努力し「正精進(しょうしょうじん)」・正しく念じ「正念(しょうねん)」・正しく心を決定させる「正定(しょうじょう)」の八つの道「八正道(はっしょうどう)」を説かれました。

 

今は、うつされない努力とうつさない努力をして、新薬ができるまで辛抱するしかありませんが、この正しい道を歩んで心を鎮めたいものです。

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